mantaの建築・アート巡り

mantaです。普段は建築学生やってます。趣味は芸術鑑賞、建築巡りなど。

ブリューゲル「バベルの塔」展~壮大な風景と緻密に描かれた人々~

上野公園の東京都美術館で開催されているバベルの塔」展に行ってきました。

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ピーテル・ブリューゲル1世とは

ピーテル・ブリューゲル(1526/1530頃~1569)は、16世紀ネーデルラント絵画を代表する巨匠です。ネーデルラントとは、現在のオランダとベルギーを合わせた地域のことです。この一帯は、イタリアルネサンスに匹敵する「北方ルネサンス美術」の中心地で、15~16世紀に数多くの優れた作家を輩出し、油彩、版画、彫刻などの美術文化が開花しました。ブリューゲルは、聖書の物語を描く宗教画や、人々の暮らしを描く風俗画で有名です。ちなみに、自分の子に同じ名前を付けているので、ブリューゲル(父)やブリューゲル1世と表記して区別します。

 

ヒエロニムス・ボスとは

ヒエロニムス・ボス(1450頃~1516)もブリューゲルと同じくネーデルラントの画家です。地獄の情景や妖怪を創造力豊かに描き、奇想の画家と呼ばれています。この画風を真似る画家も多く現れ、ブリューゲルもその一人でした。本展覧会でもブリューゲルの版画が展示されていて、ことわざをモチーフにしたユーモアのある作品が並んでいました。

 

バベルの塔」とは

バベルの塔旧約聖書の創世記中の物語に登場する塔です。以下、会場で訳されていたものの引用です。

世界中は同じ言葉を使って、同じように話していた。東の方から移動してきた人々は、シンアルの地に平野を見つけ、そこに住み着いた。彼らは、「れんがを作り、それをよく焼こう」と話し合った。石の代わりにれんがを、しっくいの代わりにアスファルトを用いた。彼らは、「さあ、天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。そして、全地に散らされることのないようにしよう」と言った。主は降って来て、人の子らが建てた、塔のあるこの町を見て、言われた。「彼らは一つの民で、皆一つの言葉を話しているから、このようなことをし始めたのだ。これでは、彼らが何を企てても、妨げることはできない。我々は降って行って、直ちに彼らの言葉を混乱させ、互いの言葉が聞き分けられぬようにしてしまおう。」主は彼らをそこから全地に散らされたので、彼らはこの町の建設をやめた。こういうわけで、この町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を混乱(バラル)させ、また、主がそこから彼らを全地に散らされたからである。

聖書「創世記」11章1~9節(新共同訳)

実際に見てみるとかなり細密でした。巨大な塔、遠方の風景と3mmほどの人々の行動が同時に描かれていたのが驚きでした。また、3DCGの映像や拡大された複製画などが用意されていて非常にわかりやすかったです。

 

まとめ

教科書にも登場するブリューゲルはやはりかなり人気のようで、会場は大混雑でした。会期はそろそろ終わってしまいますが、ぜひ一度は生で見てみてください。

 

babel2017.jp

[住所]東京都台東区上野公園8-36

[電話]03-5777-8600

[開室時間]9:30~17:30

[休館日]月曜日

[観覧料]一般1600円/大学生1300円/高校生800円/65歳以上1000円